手動真空吸引法:MVA法 Manual Vacuum Aspiration


MVAは1961年よりアメリカで開発が始まり、1980年代より世界各国で普及し、100ヵ国以上で使用されています。
2015年に日本でも承認されました。
WHOは中絶処置での全身麻酔(静脈麻酔)をしないことを推奨しており、局所麻酔が行われます。
妊娠12週未満は、基本的に術前処置は不要です。
子宮内に鋭的な器械を挿入する掻爬法よりも子宮内膜損傷や子宮穿孔などの合併症のリスクや痛みが少なく、電動吸引法よりも子宮に愛護的であり静かに処置ができ、簡便であることなどがMVAのメリットとしてあげられます。
当院でも妊娠初期の流産手術ではこのMVA法を施行しています。
MVAキットについて詳しく知りたい方は以下のリンクをご参照ください。

当院での診断とその後の流れ


※当院では中絶手術は施行していません。
①当院で妊婦健診中の方や他院よりご紹介された方については経腟エコー検査で胎嚢の大きさ・胎芽心拍の有無の確認などについて最終診断をさせて頂きます。
②胎嚢の大きさが3cm未満の場合は、待機療法(手術をせずに自然に胎嚢が排出されるの待つ治療法)をおすすめする場合もあります。担当医とご相談ください。
③手術の適応があれば、日程調整を致します。
基本的に日帰り手術になります。
麻酔は麻酔科医が行います。全身麻酔の1つの静脈麻酔が基本になります。
子宮内容物は、稀な異常妊娠の胞状奇胎などの診断の為に病理検査へ提出させていただきます。
※染色体検査をご希望の方は、担当医へご相談ください。染色体検査については胎児生命科学センターへ絨毛を提出して検査をして頂きます。詳細は以下のリンクをご参照ください。
④手術自体は10分前後で終了します。帰室後に麻酔が覚めて歩いたりできるようになれば、退院診察を行います。
退院診察で特に異常が無ければそのまま退院となります。次回、10日前後で外来予約をお取りいたします。




合併症
従来の搔爬法と比較すると非常に頻度は低いですが、以下については稀ですが起こる事があります。
・子宮穿孔
・不正出血
・子宮内膜損傷
・子宮内腔の癒着
まとめ


当院では、初期の流産手術に子宮に優しい手動真空吸引法:MVA法を採用しています。
基本的には“日帰り手術”になります。
麻酔は、麻酔科医による静脈麻酔が基本になります。
ご希望の方には染色体検査を行っています。


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【参考文献】
WHO 「Safe abortion: technical and policy guidance for health systems Second edition」




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