【妊娠中の太らない食事方法】|出産後の赤ちゃんへの影響

食習慣

本日は母体肥満の周産期経過の影響について触れたいと思います。

ご参考になれば幸いです。

妊婦の皆さん、日ごろの食生活に苦労していると思います。妊娠中は極度の食事制限や運動によるダイエットはできません。

バランスの良い食事から妊婦さん一人一人の体格にあった適正体重があります。具体的な妊婦さんの食事方法は【妊婦さんの体重管理】妊婦健診中の食事改善方法|2つのことをご参考ください。

最近、妊婦健診をしていても妊娠中の体重増加が著しい妊婦さんが多いです。1か月の間に2-3kg体重が増えてしまう方もいます。

結局、出産まで15-20kg体重が増加することになります。多くの妊婦さんは炭水化物の過剰摂取であることが多いです。

◆もともと、妊娠中の生理的な代謝変化では、糖代謝において血糖値は下がりにくい?

我々ヒトの妊娠経過に伴う糖代謝においては、「インスリン抵抗性」の亢進は胎児への糖エネルギーの供給の点からは合目的的なんです。

なので、妊娠中は空腹時低血糖、食後高血糖、高インスリン血症の状態になりやすいんです。
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●インスリン抵抗性とは?
すい臓からインスリンが血液中に分泌されていても肝臓、骨格筋、脂肪組織でのインスリンに対する反応が鈍くなっている(感受性低下)ために、インスリンの血糖を下げる働きが十分に発揮されない(インスリンの効きが悪い)状態のことをいいます。
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◆肥満妊婦の方がインスリン抵抗性は高い?

これまでの色々な報告では、肥満妊婦のインスリン抵抗性は高いと言われています。
さらに、肥満妊婦では妊娠中の適正な体重増加量も厳しいです。

肥満は妊娠中も辛いため、やはり妊娠前からの食生活の見直しは重要だと思います。
2021年3月から、「妊産婦のための食生活指針」の改定がありましたので、ご参考にしてください。

◆肥満妊婦では妊娠糖尿病、妊娠高血圧性腎症が発症しやすい?

また、母体肥満の周産期の影響については妊娠糖尿病の発症リスクは標準体重を1とした時と比較するとBMI(25~29.9)までの方、BMI 30以上の方それぞれ2.91倍、6.58倍でした。

妊娠高血圧腎症では、BMI(25~29.9)までの方、BMI 30以上の方それぞれ2.37倍、3.69倍でした。(Enomoto K, et al:Plos One 2016) 肥満妊婦では、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症を発症しやすいと言えるでしょう。

◆妊娠糖尿病既往の患者は将来2型糖尿病の発症リスクが高い?

肥満やインスリン抵抗性の亢進は母体、胎児・新生児への影響は以下の通りです。

▼母体への影響
–短期的な影響–
・妊娠糖尿病
・妊娠高血圧腎症
–長期的な影響–
・生活習慣病:肥満、糖尿病、高血圧症
➡将来的な2型糖尿病の発症リスクは9.51倍 (Vounzoulaki,et al BMJ 2020)
➡将来的な2型糖尿病の発症頻度は産後5年で約20%、産後10年で約30%(厚労省科研)

▼胎児・新生児への影響

–短期的な影響–
・子宮内環境悪化
・過剰栄養/低栄養
・胎児発育過剰/発育不全
–長期的な影響–
・生活習慣病:肥満、糖尿病、高血圧症
母体も、その子も将来的に生活習慣予備軍となりやすく、❝世代間連鎖❞すると言われています。

女性にとって、妊娠自体が将来の生活習慣病の発症リスクを判定するストレステストであるとも言われています。(Hypertension 2010)

◆予防策はあるの?

やはり、食生活の見直しですね。栄養指導です。それでも改善が見られなければ、薬物療法による積極的介入となります。

国立成育医療センターでは妊娠糖尿病既往・産後境界型糖尿病女性に対するメトホルミン(ビグアナイド系薬剤に分類される経口糖尿病治療薬の一つ)投与による2型糖尿病発症抑制効果を検証する他施設共同試験(生活指導 vs 生活指導+メトホルミン投与)を施行しています。

◆母乳栄養は産後2型糖尿病の発症を低下するのか?

4~12週間の授乳は産後2型糖尿病の発症を70%低下させるという報告があります。
(K.Tanase-Nakao,et al. Diabetes Metab Res Rev. 2017 May;33(4).)

積極的に授乳を母乳栄養にすることは糖尿病の発症を抑制できる可能性が高いと思います。

また、出産後のフォローアップも重要です。産後に糖負荷試験を施行、血糖値、脂質、血圧を管理する。

そして、糖尿病、境界型糖尿病、メタボリックシンドロームの発症をチェックすることも重要です。次回妊娠に備えた血糖管理も厳格にする必要もあります。(妊娠前からの血糖コントロールが良くないと胎児奇形率が上昇すると言われています。)

◆母体肥満は胎児の過剰な発育と児の成長後の肥満リスクが高い。女性の妊娠前の体格が❝やせ❞では、胎児発育不全の頻度が高い。

上記のリスクを回避するために、プレコンセプション・ケア(将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと)が非常に重要であると報告されています。(Enomoto K,et al. Plos One 2016)


ご主人の協力も非常に重要です!

人生の最初の1000日(受精から満2歳の誕生日まで)の適切な栄養が将来の健康維持に重要である。(UNICEF. WHO)

◆まとめ

・肥満妊婦では、妊娠糖尿病や妊娠高血圧腎症が発症しやすい。
・肥満妊婦は将来的にも生活習慣病になりやすい。
・産まれた子も将来的に生活習慣病のリスクがあり、❝世代間連鎖❞が指摘されている。
・妊娠糖尿病既往の将来の2型糖尿病発症リスクは高い。
・母乳栄養による授乳は産後2型糖尿病を低下させる可能性が高い。
・女性の妊娠前の体格が❝やせ❞では、胎児発育不全が、過剰体重や肥満では妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、胎児発育過剰、巨大児の発症頻度が高い。

・何といっても妊娠前、妊娠中、出産後の食生活は非常に重要である。ご主人にも協力
してもらいましょう。

まだまだコロナ禍は続きますが、女性の方、男性の方、そして妊婦の皆さん、明日も頑張っていきましょう!




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