

つわり(妊娠悪阻)に効果的な漢方薬
「つわり(妊娠悪阻)」は妊娠初期からみられる症状です。ほとんどの方は妊娠12週ぐらいまでで軽快~消失します。長くても妊娠16週ごろ(胎盤が形成される時期)までには消失します。
しかし、つわりは症状の程度にかなり個人差があります。嘔気、嘔吐、胸やけ、食欲不振、倦怠感など・・・。体重も4-5kg減少する方もいます。比較的稀ですが、重症妊娠悪阻で入院を必要とする方もいます。
そんな中で、症状が軽度から中等度の妊婦の方には漢方薬が効果的な方が結構多いです。良く処方するのが『六君子湯』と『半夏厚朴湯』です。本日は『六君子湯』について一緒に勉強していきましょう。


六君子湯は妊婦さんにも使用できる漢方薬です
六君子湯は『補剤』の1つです。
人参養栄湯、補中益気湯、十全大補湯と共に、『補剤』と言われる漢方薬の1つです。
『補剤』とは、わかりやすく言うと免疫力を維持する、高める効果のある漢方薬です。
なので、即効性はありません。内服しているうちに、徐々に効果を発揮してきます。私も内服していましたが、非常に飲みやすいです。現在は『補剤』のうち最強の『人参養栄湯』を内服していますが。
この六君子湯は胃腸系の働きを良くしてくれます。胃腸系の病気で多い、機能性ディスペプシアにも使用されています。
この漢方薬は四君子湯と二陳湯という2つの漢方薬を合わせたものです。
四君子湯は4つの生薬:人参・甘草・蒼朮・茯苓(クラシエは蒼朮➡白朮になっています)で構成されています。
二陳湯は2つの生薬:陳皮と半夏で構成されています。
これらに生姜と大棗を加えた合計8種類の生薬で六君子湯は構成されています。
この漢方薬は論文でも散見されるように、科学的にも効果が証明されています。
例えば、消化管の蠕動運動の亢進作用やグレリンという胃から分泌される摂食ホルモンの働きを高める作用があります。


胃腸系の病気に効果を発揮します
六君子湯は、以下のような方に使われます。妊婦さん以外でも、以下のような症状でお困りの方は是非内服してみてはどうでしょうか。
以上のような症状は、つわりに非常に似ていますよね。もちろん、全員に効果があるとは言えませんが、ほとんどの方に効果が期待できると思います。
また、妊娠後期になると、増大した妊娠子宮の圧迫も加わり、つわりに似た症状が出てくる方もいます。そんな妊婦さんにもこの六君子湯は効果があります。
食欲がない方に内服して頂くと、食欲を回復する効果もあります。


六君子湯の副作用
六君子湯の生薬成分の甘草は、大量に服用すると生薬としての副作用が懸念されます。「偽アルドステロン症」と呼ばれる機能異常によって、高血圧や浮腫(むくみ)、低カリウム血症などが認められることがあります。
しかし、妊婦さんは短期間の内服が多いので副作用を発現される方はほとんどいません。
つわりでお困りの妊婦さんで漢方薬が内服(クラシエのほうが細粒で内服しやすいと思います。)
また、温服という白湯に溶かして内服する方法もあります。
できれば、症状に応じて六君子湯か半夏厚朴湯を使い分けします。
次回も妊婦さん、コロナ禍に負けずに一緒に漢方薬の勉強をしていきましょう!
一参考リンク一
【漢方解説】六君子湯(りっくんしとう)|漢方セラピー|クラシエ (kracie.co.jp)
医療用医薬品ウェブサイト 漢・方・優・美 (kampoyubi.jp)
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