あれ?痔かな|【痔の治療】診断から手術までのプロセス大全

健康習慣

おはようございます。
川崎市立多摩病院産婦人科医師です。

本日は、痔でお悩みの女性の方、妊婦さん、そして男性の方にも必見です。
以前の私の記事でもご紹介しました内容を診断から治療までのプロセスをまとめました。
ご参考になればと思います。

最初の症状について

痔瘻の症状についてお話します。
・なんか肛門の外側が腫れていた。
・触ると激痛、座るとさらに激痛が走る。
・痔核とか切れ痔ではないなと直感する。
・何だか、ただことではなさそう。
➡専門医を尋ねる。

診断は?

直腸・肛門診で「複雑性痔瘻」の診断
ん?何それでした。
・薬では治療できず、手術のみ。
・色々、調べると稀ではあるが長期間放置すると「痔瘻がん」になることもあると。
・腹を決めて、いざ手術へ。
といった具合でございます。
これまでの記事の中の「痔瘻~ラモ戦記」をまとめてみました。

手術内容について

・「痔瘻根治術」です。
・手術自体はあっという間でした。痛くない。
・術後のほうが大変でした。

病棟や手術室の看護師さんも皆優しい方ばかりでした。麻酔科の先生も脊椎麻酔は上手で全然痛くありませんでした。

てっきり、手術体位は砕石位かと思いきや、伏(腹)臥位でした。両手は伸ばしてやや頭が高く、肛門側が低い体位、つまり人間ロケットみたいな体位でした。

手術が終わったら火を付けられて北朝鮮にでも飛ばされる勢いでした。執刀医の先生に無事終わりましたよと声を掛けられて、くり抜いたジローを見せてもらいましたが、眼鏡無しの私はそれがとんがりコーンの欠けた先っちょにしか見えませんでした。

手術時間は24分なので、思ったより短かったですね。手術後に尿道バルーンは挿入しないので、尿意が出てきたら尿瓶です。

ただ、私の場合麻酔が切れてきたが尿意が無く看護師さんにさんざんおしっこ大丈夫ですか?と言われました。しかし脊椎麻酔でイカレタ膀胱神経が目を覚ますことはありませんでした。仕方なく夜勤看護師は最終兵器を投入しました。

残量測定可能エコーである。エコーを当てたところ残尿550mlって水尿管になってしまうぐらいパンパンでした。導尿するか尿道バルーンを挿入するかの2択に迫られました。

肛門創部痛も出てきて、さらに毎回の導尿は私のイカレタ膀胱にはこたえると思いました。尿道バルーン挿入を決断しました。夜勤看護師は当直医の先生に連絡しました。

颯爽と現れたのは、おかっぱ頭の身長150cmぐらいの小さい女医さんでした。じゃー入れますよ。とばかりに私の尿道に挿入したところ、大量の希釈尿があふれんばかりに放出されました。

かろうじて水尿管は免れました。朝生きるとベッドの傍らには女性用ダンベル3kgぐらいの重さはあろうハルンバッグ(尿をためる袋)が横たわっていた。

その女医さんは第一助手でわたしの手術に入って頂いていた先生でした。
尿道バルーンを挿入したのは良いが、抜去後の排尿痛が辛かった。

術後1日目は終日痛かった。創部痛はロキソニン®の内服から始まりましたが全然効きませんでした。仕方なくロピオン®の点滴を志願しましたが、即却下されました。

ロピオン®はありませんので、アセリオ®点滴しますねと。しかし、意外とアセリオ®効きました。術後1日目の朝から全粥開始で昼から常食でした。

朝は7時半、昼は12時、夕は18時です。おやつは15時にクッキー1個でます。消灯が21時はやはり早い。6時起床だが、4時半ぐらいに目が覚めてしまう。

戦線離脱前も6-7時間睡眠ぐらいだから仕方ないかもしれない。食事は美味しいですね。量は少ないです。

しかし、非常に健康的でした。入院前の生活がいかに不健康な生活だったのか身にしみてわかった気がしました。

座浴について

ついに『坐浴』始動です。。一通りパンフレットに目を通して感触はつかんでいました。要は、肛門を指に例えると「フィンガーボール」ってことだ。

入院セットの中に組み込まれている青い奴だ。青いと言えばガンダムに登場するランバラル大尉の『グフ』ってところですか。色のバリエーションはありません。

男女問わず「青」なのだ。理由はわからない。なんで青なのか気になる諸君はグフを作成している「オザワサクジ」に問い合わせてみるといい。

トイレに行くときは助手席に必ずこのグフを同乗させねばならないのだ。ただ、トイレへの運転中に左傍らにいるグフは何も語ってはくれない。

看護師さんに使用法を伝授して頂き、いざ出陣。便器の背もたれ側に専用ノズルがある。便座を引き上げ、「グフ」をセットする。

ここに専用ノズルから出るお湯を貯めるのだ。この臨戦態勢のグフに座れば、いざ出陣なのだ。最初は創部がしみて激痛が予想されましたが、なんのなんの逆に気持ちいいではないか。

肛門を浸している間は余韻に浸っている場合ではないのだ。グフを操縦しなければならない。やらねばやられてしまうのがこのご時世。肛門を収縮させたり弛緩させたりして血流を良くするのだ。

出血や浸出液や痂皮を洗浄し清潔を保持するのだ。約1分間やって、お湯を捨て、また貯めてを繰り返すこと3回が1セットなのだ。お湯を捨てるときはグフの鼻を持ち上げるとあたかもダムの計画放水のように捨てることが出来る。

下流の方々は気を付けなければならない。術後1日目は1日2セット、2日目からは6セットする。グフを毎回坐浴が終わるたびに洗浄するのがやや面倒くさい。

創部の安静時疼痛は術後2日目からはほぼ消失した。だが、なにか動作を開始するときにかなり痛い。また時折襲来する無意識の肛門収縮は非常に痛い。

まだ排便はない。この創部で排便できるのか非常に不安である。創部離開や大出血が脳裏をかすめる。しかし、傍らのグフは何も語らない。

術後の入浴について

毎朝、朝食後の8-9時に先生の回診がある。要は肛門診、曜日ごとに先生も違うので先生たちにとっては「ぶらり途中下車の肛門旅」みたいなのだろう。

立ち寄ったお店で何か食べたりはしないが。まず、左側臥位で肛門を露出し創部を観察。まあ、10秒足らずの視診である。疼痛の程度や出血量の確認と排便の有無の確認、飲水量の確認も重要である。

普段はブラックコーヒーを1日に1L以上飲んでいた私にとってはただの水を1.5L以上飲むのは辛かった。だが、よくよく考えてみればコーヒーは利尿作用があるため便を硬くしていたのだ。

だから普段はやや便は固かった。術後はおなじみのマグラックス®も内服している。やはり飲水は重要である。

恐らく、術後の第一排便が、カッチカチやぞのザブングル(ファミ通Tシャツ着てるほう)ぐらいの非常に硬い便であれば、たちまち私の工事中の肛門は無残にも破壊されてしまうだろう。

術後2日目、待ちに待った入浴戦である。手術後、シャワーも浴びていないので、髪ペットリ君である。坐浴につづき入浴も治療の一環だのだ。

いざ、浴室に出陣。なんと入り口の向こうには見たことのない光景が広がっていた。当初は男女別々の大浴場を予想していた。

しかし、そこには1から12までの番号が貼られたドアが横一列に並んでいるではないか。完全個室なのだ。

そして入り口を入ったところには番頭と思わしき女性の方がいた。老舗女将のようなこの方がここを仕切っているのだ。ここのシステムについて丁寧に説明してくれた。

順番が呼ばれるまで待たなければならない。そこには老若男女問わず肛門病の方々が、おそらくドクター中松の座っても痛くない椅子と思われる滑稽な形の椅子に座っていた。

私も空いている椅子に腰かけた。痛くない。さずがドクター中松。そして私の順番が来た。老舗女将から「406号室の方、初風呂です。」は恥ずかった。

ちょっと長くなったで後編は次回です。読んで頂きありがとうございました。

まだまだコロナ禍は続きますが、女性の方、妊婦の皆さん、そして男性の皆さん
今日も頑張っていきましょう!


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